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2024年には人口が中国を抜いて世界一になると予測されているインドは、経済面でも中長期的に成長率が中国を上回り、GDPは2030年までには日本を超え世界3位になる有望な国であり、日本経済・企業にとって、関係を緊密にしたい国である。しかし現実の日本とインドの貿易も、日本からインドへの投資も、中国など他のアジア主要国に比べて圧倒的に少ない。このギャップの根底には日本から見たインドの分かりにくさがある。

長く複雑な歴史があり、経済発展も紆余曲折を経て、人種も文化も多様なインドは、日本人にとって訪問すればするほど、長く駐在すればするほど、その深みを意識させられ、ますます分からなくなる国である。

本書は、その複雑なインドを理解する糸口となる大変貴重な入門書である。伸び悩みの続いたインド経済がなぜ近年、発展に弾みをつけているのか。歴代の政権の果たしてきた役割と直面してきた課題。難解な発展のプロセスを、簡潔にまとめて理解を助けてくれる。飛躍してきたIT、豊富な高度人材、デジタル化、着実に増える中間層。日本企業が知りたい今のインドを描きつつも、直面する課題も率直に指摘することで、その実像を明確にしていることも本書の特徴だ。多様なインドの自然、地域特性から文学、映画まで実は経済の理解に欠かせないさまざまな要素も網羅されている。そして、謎の多いカーストも、歴史と宗教の視座から深みのある説明がされている。

第2部の注目業界・テーマもインドの多様な業界の基礎知識と最新情勢が分かりやすく整理され、網羅されている。第3部の事業展開の基礎知識と合わせ、これからインドに進出したい企業、投資家にも、インドでの事業拡大に苦闘する日本企業にも大変有難がられるであろうガイド、投資ハンドブックの機能も盛り込まれている。

経済だけでなく、政治であれ文化であれ、インドを理解したい人には、ぜひ一読をお薦めしたい良き入門書である。

図解インド経済大全
佐藤 隆広 編著/上野 正樹 編著/高口 康太 編集協力

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