日本語版への序
謝 辞
序 章 はじめに 経営学における危機
第1章 最初から欠陥だらけ──経営学の不幸な生い立ち
- はじめに
- ベスレヘム製鉄会社の伝説と科学的管理法の科学的厳密性
- ホーソン研究――不快な警告? それとも見習うべきお手本?
- 経営研究における科学的厳密性と現実関連性
- 我々はビジネスの世界にどれだけ近づくべきなのか?
- 結語
第2章 学術研究を堕落させ学問の自由を脅かしつつある監査の暴虐
- 監査文化の肥大化
- ジャーナル・ランキング、引用指標、インパクト・ファクターがいかに学術研究の価値を毀損してきたか
- 自己引用の増大
- インパクト・ファクターという地獄の猛火
- ランキングの梯子をよじのぼることと業績達成志向のプレッシャー
- 研究助成金と学問の自由/ハゲタカジャーナルの大量増殖
- 手段優先主義的な動機とナンセンスな研究
第3章 レヴィー・ブレイクス――壊滅寸前の研究生活
- はじめに
- 人間の組織としての大学
- 21世紀の大学とビジネススクールで働くということ
- 学術研究におけるインテグリティを取り戻すために
- 結語
第4章 学術研究におけるインテグリティの崩壊
- 「QRPs(疑わしい研究行為)」と研究不正との違いは何か?
- P値ハッキング/HARKing(仮説の後出し)/再現研究と再現性の危機?/QRPsおよび明らかな不正行為はどの程度一般的なのか?/学術研究の腐敗
第5章 失われし楽園の幻想 ―経営学における論文撤回の事例から
- 撤回の理由
- データ分析上の問題
- 定量的論文と定性的論文における撤回の頻度
- 編集委員の視点から
- 共著者の視点から
- 違反者の視点から
- 研究不正とQRPs―学術研究のインテグリティを強化していくために
- 結語
第6章 経営研究におけるナンセンスの勝利
- そもそも理論とは何なのだろうか?
- 経営学における理論構築へのフェティシズム的な執着
- 「影響の不安」
- 理論構築の仮面をかぶったナンセンスな論文
- 違う書き方
- 我々に何ができるのか?
- 結語
第7章 欠陥だらけの理論、怪しげな統計分析、まことしやかなオーセンティック・リーダーシップ理論
- はじめに
- オーセンティック・リーダーシップとは何か?
- なぜそれが重要だと思われているのか?
- 欠陥だらけの理論化、無根拠の仮定、同語反復的な論法
- 本当の自分が「大馬鹿者」だったとしたら?/トートロジー(同語反復)としての理論
- 卑金属を金塊に変える―錬金術としてのAL研究
- ALTにおける質問表調査(アンケート)と確証バイアス/実験的研究と確証バイアス/リーダーシップ研究における因果推論をめぐる問題/メタ分析と「根源的な構成概念」
- 結語――リーダーシップ理論というのはいかにして構築されるものなのか
第8章 「エビデンスベーストの経営」の約束と問題とパラドックスと
- はじめに
- EBMが約束するものと問題点
- EBM自体のエビデンスベース
- エビデンスを解釈し実務上有用な情報を提供する
- 経営側による「現実」と「エビデンス」の定義を最優先にしてしまう傾向
- 社会的構築主義の立場からの批判に対する批判
- 批判的実在論(critical realism)という代替案
- 結語
第9章 有意義な経営研究の復権を目指して
- テクノロジーと仕事の未来
- 機械化にまつわる諸問題
- 自動殺戮兵器
- 企業経営へのインプリケーション
- 企業の終焉?
第10章 経営研究に確固たる目的意識と情熱を取り戻すために
- 研究し尽くされたテーマの範囲を越えて
- 学術ジャーナルのあり方について考え直す
- たしかな目的意識に裏づけられた批判を目指して―批判的経営研究が抱える問題
- 結語
- アカデミックな職業!
訳者解説―経営学の「不都合な真実」と再生への道筋
注
索 引