(上の写真はシティライツブックストア外観。2階の窓に貼られたメッセージにご注目を)
サンフランシスコ湾・市街が一望できるコイトタワー(Coito Tower)で有名なノースビーチ(North Beach)近隣地区は、サンフランシスコ北東部、チャイナタウンの北に位置します。
ここは、1950年代、ジャック・ケルアックやアレン・ギンズバーグなどビート・ジェネレーションを代表する作家たちの活動の中心でした。
当時、警察・当局とさまざまな激しい闘いがありながらもそれを乗り越え、反体制ムーブメントと知の中心であり続け、そして現在、市からも認められ、通りにはビートムーブメントを支えた文学者たちの名前が付けられるまでになりました。
ノースビーチには、今も、反体制ムーブメントにかかわる新しい作家が集まり、新しい出版社や書店の創業が続き、関心のある人々を集まっています。
この地区を象徴し、ここで最も訪問していただきたいのは、シティライツブックストア(City Lights Bookstore, http://www.citylights.com/)です。
どこででも売っているようなベストセラーは置かず、体制に対して異を唱える自由と権利を守ることを自らの使命とした品揃えをしています。
出版部門も持ち、アレン・ギンズバーグの詩集などを出したことで、ビートムーブメントの発端となりましたが、しかし、その後、ビートにこだわらず、多様なバックグラウンドを持つ多様な作家による異なるジャンルの作品の出版・販売を行い、また、時代の趨勢に合わせマーケティング手段を柔軟に調整してきており、今はネットをうまく活用することでメディアへの露出や集客を上手に行っているとのことです。
変わり続けるシティライツとは対照的に、ビートの記録・記憶を残している、ビートミュージアム(Beat Museum, http://www.kerouac.com/)もあります。
ここには、シティライツが出版するにあたり当局がオーナーと店のマネジャーを逮捕し、裁判となったアレン・ギンズバーグの『吠える』の当時のエディションなどの初版、さまざまなオリジナル原稿、また、ジャック・ケルアックが酒屋で切った小切手などが展示されています。
また、水曜日と土曜日にはビート・ジェネレーションの街を歩くツアーも開催されます。
このような、ビートやカウンターカルチャーにまつわるさまざまな施設、通りがある一方、聖ペテロ・パウロ教会(Saint Peter & Paul Church) がランドマークとなっており、広い芝生は近隣住民の憩いの場となっています。
『チャイナタウン、ゲイバー、レザーサブカルチャー、ビート、そして街は観光の聖地となった』には、この街に集まったビートたちと市の闘い、変遷を続けるシティライツの歴史などが、1章に渡り詳しく書かれています。