(前略)

 この本では,カミングアウトの最初のプロセスや,子どものセクシュアリティと自分の信仰や考え方とに折り合いをつける方法,子どもの外泊への対処など,いろいろな問題について取り上げています。カミングアウトのプロセスを経験した親子の話を聞き,その経験を,うまくいったものも,そうでないものも共有することができるでしょう。この本は,Q&A(質問とそれに対する回答)という形で書かれています。ですから,自分と関係のありそうなテーマを,いつでも好きなときに,すぐに見つけ出すことができます。最初のページから順番に読み通さなくても構いません(とはいえ,そうしたいと思ったなら,ぜひそうしてください!)。また,親子で新たな経験をするたびに,読み返してみるのもいいでしょう。たった今求めた回答が,今から1 年後には,まったく違う答えに変わっているかもしれません。それはすべて,プロセスの一部なのです。各章の終わりには「この章のまとめ」を用意しました。それぞれの経験や関心に従って,いろいろな形で活用してください。

 私たちからのアドバイスは,何組もの親子と話し合った経験に基づいていますが,もちろんその一つ一つを全部取り上げることは不可能です。ですから場合によっては,アドバイスが大いに役立つこともあるし,しっくり来ないこともあるでしょう。でも,それはそれでいいのです! この本は,プロセスの初めに抱く,難しい疑問に取り組み,自分の子どもや,家族や,大切な人たちとの対話を始めよう(そして続けていこう)と
している人たちのために書きました。親子が一緒になって最初の一歩を踏み出すために,そしてこのプロセスをさらに探っていくために,この本を活用してください。巻末には,取り組みを続けていく上で役に立つ,いろいろな資料を載せました。

 自分の子どもをできる限り理解し,助けになり,支えてやりたいと心の底から願っている大勢の親がいます。この本を手にとったあなたは,間違いなくそういう親の一人です。この本を読んで,少しでもあなたの気持ちが落ち着きますように。そして対話を通じて,どんなことでも打ち明けられる,強い絆が生まれますように。この本は,自分の子どもと,セクシュアリティについて気軽に話し合えるようになってもらうこと,子どもがカミングアウトした直後(あるいはそれから数年後)に湧いてきた疑問への答えを示すこと,そして,子どもの側では自分に何が起こっているか,どんな経験をしているかを理解することを目的としています。

(後略)

『LGBTの子どもに寄り添うための本』内容紹介詳細目次・立ち読みへのリンク