ビッグデータから見える韓国
政治と既存メディア・SNSのダイナミズムが織りなす社会
チョ ファスン・ハン ギュソプ・キム ジョンヨン・チャン スルギ 著
木村 幹 監訳
藤原 友代 訳
[内容説明]
政治・世論の見える化が、暮らし⇔社会⇔政治の地殻変動を明らかに!
今、世界各国で注目のテーマを客観的な分析手法で読み解く!
数年前、韓国で大規模スーパーが安価で量も多いピザの販売を始めたことが、小規模なピザ専門店の経営を圧迫するとして、SNS上でスーパーの経営者が批判された。それに対しこの経営者が、どちらを選ぶかは消費者の選択だ、と反論したことから「炎上」し、そこに有識者、さらに政府関係者までも参加し議論が盛り上がった。この論争は大型スーパーの営業を規制する法律の制定につながる。
本書では、この事例に代表される、日本でもありそうな、SNS・既存メディアと政治をめぐるさまざまな事例が、ビッグデータを活用した解析を元に読み解かれている。特に、韓国では政治の情報公開が進んでいるため、議員の国会における投票行動と自身のSNSでの発言傾向の整合性や、政党内の派閥活動の様相なども定量的に描き出されているのが興味深い。
合わせて描き出されている、進歩(革新)・保守を問わない韓国政党の激しい離合集散の様相は、日本の政局を占う上で一つのケーススタディとなろう。
日本におけるビッグデータの活用はマーケティング分野が中心となっているが、本書は政治や社会の分析・理解にも有用なことを示しており貴重で、韓国に関心を持つ方はもちろん、ビッグデータを活用した政治学研究、あるいはメディア論に関心がある方にも参考となろう。
[目次]
日本語版出版にあたって
はじめに
韓国政党変遷
第1章 ビッグデータの時代
ビッグデータ時代の到来
ビッグデータの特徴
第2章 政界の両極化
動物国会
両極化と植物国会
比例代表候補者は使い捨て「強硬派」
野党分裂は国会表決記録で予測できる?
表決の地域主義
第3章 ソーシャルメディアの変更
ネットセレブの偏向と世論主導
Twitterのフォローは偏向しているか?
SNSは世論を歪曲するか
エコーチェンバー現象の空間,Twitter利用者の情緒的両極化
第4章リーダーと派閥政治
東橋洞系 対 上道洞系
親朴槿恵系 対 親李明博系,親盧武鉉系 対 非盧武鉉系
セヌリ党,派閥争いで第一党から転落
親盧武鉉系か非盧武鉉系か:平行線の野党
派閥別投票傾向
現権力と未来権力
改革派は存在するか
第5章イメージと世評の政治
イメージ政治の力
候補者イメージとネガティブイシュー
政治家の世評が選挙を左右する
知名度こそが勝利のカギ
安哲秀シンドロームの中の安哲秀イメージ
第6章世代間対立の政治
若年世代の感情の分裂
第7章日常の政治化
イデオロギー的消費論争:日常的イシューの政策化
大学授業料半額論争:ブログとTwitterにおけるイシューの相違点
セウォル号惨事の政治化
MERS騒動:サムスン病院 対 大統領責任論
第8章メディア生態系の崩壊
退職ジャーナリスト1人当たりネットメディア企業1社
コピペジャーナリズムとギャングメディア
ポータルサイトとメディア企業間の争い
メディア生態系崩壊の元凶はポータルサイトか?
監訳者解題
索引
著 | チョ ファスン/ハン ギュソプ/キム ジョンヨン/チャン スルギ 著 |
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出版年月日 | 2017/10/06 |
ISBN | 9784561951384 |
判型・ページ数 | A5・196ページ |
定価 | 本体2600円+税 |