近年、社会科学では研究や調査の方法論に関する著作が相次ぎ、ロングセラーとなっている。研究のタコ壺化への反動、あるいは学際化により、ロジックの展開の方法を改めて幅広く把握する必要があるからのようである。
本書は科学的方法論のうち、「仮説構築」という科学的な活動の中でも特に重要なものを取り上げる。それは、「仮説構築がもっとも神秘に満ち溢れているからである」と著者は言う。すなわち、仮説は必ず飛躍を含むが、「それが人間がごく当たり前に持つ思考の流れ」がどのようにしてそのような飛躍に到達するのかが俄には分からないからである。
本書はこれまでの、仮説をめぐる科学的方法論の発展の歴史を丁寧にたどりながら、科学的な仮説が生み出されるプロセスを論理学的な側面から議論する。
これまであまり論じられることのなかった、仮説とは何かを明らかにし、また、仮説が立てられる過程をロジカルに解明することで、より科学的かつ独創的な仮説構築のヒントが得られる。 研究に携わる方の間で広く参考になる本となろう。
目次
第1章 仮説構築の論理
第2章 ベーコンと新しい帰納法
第3章 消去による帰納法
第4章 パースと科学の方法
第5章 アブダクションの論理
著 | 赤川 元昭 著 |
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出版年月日 | 2021/02/26 |
ISBN | 9784561860556 |
判型・ページ数 | A5・152ページ |
定価 | 2,300円(本体2,091円+税) |