【自著紹介】

 老舗のファミリー企業が持続的に成長し、維持、発展していくためには、事業承継が最も重要な経営課題です。通常、先代との関係の中で多くの制約を経験する後継者は、他方で直系当主の家に生まれて来たが故に一般の従業員とは異なる自律的な存在でもあり、難しいジレンマを抱えています。本書は、後継者がこの制約と自律の矛盾をどのように克服するのかという課題を設定し、事例研究から掘り下げてみました。
 本書は下記の2点でユニークなものとなったのではないかと思います。一つ目は、これまで事業承継の問題の多くが税務会計の視点から扱われてきた中で、本書は経営学の視点で分析し、老舗の企業変革の力学を描き出したという点、またその二として、描き出された力学がリアリティを持って書き込めた点です。研究者向けを第一に仕上げましたが、できる限り一般の方にも読みやすいよう心がけました。
 事業承継の問題に悩む人々にとって、日々の悩みへのヒントが示せていればと願っています。

『事業承継のジレンマ』落合康裕著、白桃書房、定価3456円(税込)