創業100年以上の老舗企業は、そのほとんどがファミリービジネスであるといわれています。企業の長期的な事業継続の解明にあたり、ファミリービジネスに対する世界的な再評価がなされてきています。このファミリービジネスの研究は、欧米を中心に1950年代から始められ、戦略、組織、承継など研究の蓄積が図られてきました。
 本書は、日本だけに限らず、世界のファミリービジネスに関する諸研究が幅広く解説されており、体系的にファミリービジネスを理解するための教科書となっています。一般的にファミリービジネスは、企業の所有と経営が一致している程度が高く、ファミリー経営者は当事者意識をもって長期的な視点から経営にあたる肯定的な側面があります。他方、同族であるが故の経営の排他性や硬直性から、大塚家具の事例などに見られるように消極的な側面も指摘されています。
 本書は、このようなファミリービジネスのもつ両面性をニュートラルな視点から詳説しており、概要をつかむのに最適です。[執筆:落合康裕(日本経済大学准教授)]

(後藤俊夫編著、白桃書房、定価3024円(税込))